・口笛の周波数は高く、人間や生物や植物や自然が出す殆どの音と違う。
その為口笛はそれらの音と干渉する事なく伝播するので、口笛は遠くまで聞こえる。
よし。これでいつアルプスの少女が孫になっても不安は無い。
別に雲は人を待っているわけじゃないと思うし。
・「昔ギリシャのイカロスは・・・」の歌の話題になった、なんでも音楽の教科書に載ってるらしかったが、何の事だか分からなかった。
イカロスといえばギリシャ神話に出てくる、人工の翼で空を飛んで太陽に近づきすぎ、羽を留めていた蝋が融けて墜死したイカロスだ。
あまりメインキャラではないと思うのだがやたら知られている。父親のダイダロスの方が他キャラとの絡みも多く、話への貢献度は息子の比ではない。どこに差が生まれたのだろう。
件の歌、1番の歌詞はこうだ。
「昔ギリシャのイカロスは/蝋で固めた鳥の羽/両手に持って飛び立った/雲より高くまだ遠く/勇気一つをともにして」
勇気。
まるでイカロスは勇気を出して飛び立ったかのようだ。
ないない。そういう話ではないぞ。
ダイダロスが翼を作ったのは、ミノス王によって自分と共に囚われの身となった息子を逃がす為で、脱獄には確かに勇気が必要なのかもしれない。
しかしイカロスが「雲より高く」飛んだのは、単に空を飛べたのが嬉しかったからだ。調子に乗っていただけなのだ。
他にもイカロスを題材にしたものには、イカロスと勇気を結びつけるものが目立つ。
たとえ無駄な事と分かっていても驀地に進む勇気・・・
もしくは、行きたくても決して辿りつけない処(太陽)へ、それでも向かってゆく・・・
そうした話は美しい。件の歌は憂いを帯びたメロディと相俟って、蝋細工の様に美しい。
イカロスは若かった。若くて向こう見ずだった。
何も目指さず何処へも進まなかった。愉しみだけを光の様に浴びて堕ちた。
人は若さだとか純真とか、果ては放埓といったものまでも、
蝋で塗り固めて美しく見せようとする。
そんなものは太陽の下で融けてしまえばいい。
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