・忘れて往く日常の全て
・葉月二日(木)
夜よりも朝の方が涼しく思えた。
日の光の降る中で眠る。
蛇口を捻ると水が熱い。
・葉月朔日(水)
夏の日は、殆ど日に焼けない多くの日と、
よく焼ける僅かな日から成っている。
だから夏が終わると、やっぱり日に焼けている。それがどんな夏でも。
・文月晦日(火)
海に行く予定が流れたので、海を想って泳いだ。
水中では息を吸いたい時に吸えないので辛くなってくる。
おまけに息継ぎはそれ自体がとても疲れる。人は水には生きれない。
・文月卅日(月)
西洋の貴族は夜会をするし、日本の貴族は夜這いをして、
裕かになると揃いも揃って夜を好むようになるのだろうか。
寿命の幾分の一かは眠らなければならず、眠りは十数時間毎に決まってやってくる。
昼と夜、夜と昼。
・文月廿九日(日)
雨が降って雷が鳴り、落ちた。
強い雨が降るたび、俄雨だろう、きっと夕立だ、と思い止むのを待つ。
突然の豪雨はいつも長くは続かない。そう思い込むのはなぜ?
そのうちに雨が止んだので深入りはしないでおいた。
・しまった。何もしていないのが、ばれる。
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